群馬県柔道連盟は心技体の錬成を目指します。
2020/3/29~
会長挨拶
「強・健・用」ということ
群馬県柔道連盟会長
鳥居吉二
この度、群馬県柔道連盟会長に就任いたしました鳥居吉二です。
伝統ある群馬県柔道連盟の発展のため微力ながら全力で努力してまいりたいと存じます。よろしくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
はじめに、ご挨拶にあたり大切にしている言葉を取り上げさせていただきたいと思います。今から40年以上前の学生時代になりますが、嘉納治五郎師範の孫弟子に当たる川村禎三先生に同行し柔道指導に出向きました。その際に触れた川村先生の印象的な言葉が今でも心に刻まれております。講習会開始にあたり役員さんはじめ選手大勢を前にして嘉納治五郎先生の教えの概要をわかりやすく解説していらっしゃいました。
それは「強・健・用」という言葉と内容でした。要約すれば
強は 強さを求める柔道活動
健は 健康を求める柔道活動
用は 柔道活動で強さと健康を得て、日常生活に応用する。
地域の柔道選手や、指導者や、役員の方々に柔道が求めていることを、まさに自然体でわかりやすく、責任と自信を持った言葉で話されておりました。挨拶というよりも啓発というものでした。日頃の川村先生とは別の人格を見る思いでした。私たちは道場において、強さを求めた技術指導やトレーニング指導を受けることがほとんどであり、先生の新しい面を見た思いでした。それこそが本来の先生のお姿なのだと後になって理解しました。毎日稽古に明け暮れて、鍛錬鍛錬の繰り返しの学生の日常は、先生から見れば柔道の一部をかじっている程度であったのでしょう。
「精力善用・自他共栄」と「強・健・用」はともに同じことを別な言葉で表しているものと理解しております。若い日に刻み込まれた「強・健・用」は腑に落ち、心に染みる言葉としていつも心に思い留めております。
さて、群馬県では8年後の2029年に国民体育大会(国民スポーツ大会)を開催することが決まっております。昭和58年に「あかぎ国体」を県民総参加で行い、大変な盛り上がりのなか群馬県が総合優勝したことが昨日のように思い出されます。柔道連盟においても群馬開催国体(国スポ)の成功に向けて強化・普及・環境整備など具体的な準備の坂道を登ってまいります。関係の皆様のご支援・ご協力無くして到達できません。県民全ての方々の夢と感動のため、みんなで力を合わせ努力してまいりましょう。
群馬県柔道連盟はまた、昭和39年の東京オリンピックに始まったハンガリーとの交流をはじめ多くの交流事業において他国の文化を吸収する機会を持ってまいりました。今回の東京オリンピック・パラリンピックにおいてもハンガリー柔道チームを、前橋市ホストタウン事業において協力・支援してまいりました。これからも国際的な交流を大切にし、次代を担う若い人たちの視野拡大・資質向上の一助になるよう努めてまいりたいと思います。
終わりに、柔道の身体文化的要素としてスポーツ界でも特有の「受け身」文化について、この啓発普及は柔道関係者のみならず社会一般的にも価値があるものと思われます。柔道の攻防の大前提であり自身を守る「一丁目一番地」が「受け身」であり、この価値ある文化を柔道界に留まらず要望があればどこへでも出張指導し積極的に応えてゆきたいと考えております。
※ 川村禎三先生(九段)について
・筑波大学名誉教授
・国際柔道連盟 初代スポーツ理事
・安倍一郎先生(十段)と大学同期生(東京高等師範学校)